duck

厚生労働省アドバイザリボードで報告された資料の計算方法について

2021年06月11日 —

厚生労働省アドバイザリボードで報告された資料の計算方法について

2021年6月9日(水)の厚生労働省のアドバイザリーボードで,伊藤と京都大学西浦博教授が共同で作成した日本国内のSARS-CoV-2 変異株の割合の今後の推移についての予測結果が報告されました。この予測結果の計算方法について問い合わせをいただきました。論文が閲覧可能になるまで少し時間がかかりますので,本ページで計算方法を概説します。

当該資料は,変異ウイルスの割合の推移から,従来株が一人に感染させる時に変異株は何人に感染させているかを計算し,それに基づいてアルファ株(英国株)とデルタ株(インド株)の割合が今後どのように推移するかを計算したものです。

変異ウイルスの割合の推移については,GISAIDというデータベースから2020年12月1日から2021年5月8日までに日本で確認されたウイルス30,538株のゲノム情報を取得し,何月何日にどの変異株が何株確認されたかという情報を元データとして使っています。 これらのゲノムデータのほとんどは国立感染症研究所と都道府県の地方衛生研究所からGISAIDに登録されて公開されているものです。

ウイルスのゲノム情報は6月5日に取得した最新のものです。5月8日までの情報までに限られているのは,ウイルスゲノムの解読と登録には多くの時間・労力・お金がかかるためとお考えいただければ幸いです。

なお,本研究は日本医療研究開発機構(AMED)の新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(課題番号20fk0108535h0001)および文部科学省の科学研究費・基盤研究(B)(課題番号21H03490)の支援を受け実施いたしております。

文責 伊藤公人

追記(2021-06-16):論文のプレプリントが閲覧可能となりました。

追記(2021-07-08):論文がEurosurveillanceに採録されました。

参考