私たちは分子生物学的&ゲノム研究を駆使した革新的寄生虫症研究を推進しています。トキソプラズマ症やトリパノソーマ症、バベシア症、リーシュマニア症などの原虫症のゲノム解析、シングルセルレベルのトランスクリプトーム解析、新規診断法開発、原虫-宿主-媒介節足動物間相互作用などの研究を行っています。ザンビア・マラウイ・インドネシア・タイ・ナイジェリア・ベトナムなど積極的に海外研究機関と共同研究を行い、フィールドワーク(現地調査)に基づく、革新的技術の社会実装を目指します。

寄生生物学を理解する
寄生虫は巧みな戦略で宿主の免疫から逃れ我々や動物に病気を引き起こします。宿主細胞と寄生虫、あるいは寄生虫と媒介節足動物の関係の多様性の理解は病気の制圧につながります。当研究室は分子生物学的実験を行ういわゆる”wet"な環境と、大規模遺伝子情報解析を行う"dry"な環境がどちらも整っており、バイオインフォマティクスと最先端機器を駆使した挑戦的な研究を行うことができます。

mNGSで病原体を網羅的に検出する
mNGS は検体に含まれる核酸の網羅的解析により病原体の DNA あるいは RNA を検出する方法で、理論上全ての病原体が単一の方法で診断可能です。これまで顧みられることのなかった不明熱の原因病原体や新規病原体の特定も可能になるため、将来、標準的な感染症診断法の 1 つとなることが期待されています。我々はタイ・ベトナム・バングラディッシュの研究者ネットワークを利用し、mNGS新規感染症診断方法の実証試験及び社会実装を目指します

顧みられない熱帯病のワンヘルスコントロール
顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)は貧困地域に蔓延する疾病で、長らく放置され人々の健康な暮らしを奪ってきました。日本・ザンビア・マラウイの3カ国で協働してNTDsの中でも特に致死率の高い人獣共通性寄生虫症、リーシュマニア症、アフリカトリパノソーマ症、エキノコックス症の疫学調査、診断法開発、ワンヘルスコントロールの実践を行います