シオノギ抗ウイルス薬研究部門

新興・再興感染症の治療薬の創製

シオノギ抗ウイルス薬研究部門は、2018年4月に新たな講座として設置されました。

研究方針

世界にはデング熱、エボラ熱、ラッサ熱、黄熱病等、様々なウイルス感染症が発生・流行していますが、これらの感染症に対して有効な治療薬は、殆どありません。塩野義製薬は、これらの疾患に対する治療薬の創製を目的として、北海道大学と共同で創薬プロジェクトを開始しました。北海道大学では、様々なウイルスが使用可能であるため、共同で新たな化合物スクリーニング系を構築しています。これらのスクリーニング系を用いて、塩野義製薬、北海道大学、他の研究機関が保有する化合物の中から、新興・再興感染症ウイルスに効果がある化合物を見出し、日本発の新たな治療薬を世界の患者に届けることを究極の目標としています。

研究内容

化合物スクリーニング

様々な新興・再興感染症ウイルスに対し、新規で且つ簡便な化合物スクリーニング系を構築し、塩野義製薬、北海道大学、他の研究機関が保有する化合物の抗ウイルス活性を評価しています。

MTT

図1. 本アッセイ系ではウイルス感染により細胞死が生じたウェルは黄色を、化合物によりウイルス感染が阻害されたウェルは紫色を呈する。

 

ウイルス増殖機構の解明

新興・再興感染症ウイルスについて、動物と人への感染機構、細胞でのウイルス増殖機構を解明し、治療戦略の確立ならびに創薬開発に繋げます。

塩野義製薬 抗ウイルス薬研究の経緯

塩野義製薬では、京都大学名誉教授、日沼頼夫先生を所長に招き、1988年に塩野義製薬医科学研究所を発足させました。1990年頃から抗ウイルス薬の研究・開発を開始し、現在も研究を継続し、抗ウイルス薬として、様々な化合物を創出してきました。臨床試験まで進めた化合物として、抗HIV薬 capravirine(S-1153、Pfizerに導出)、S-1360、S/GSK-364735、dolutegravir(S/GSK-1349572、製品名Tivicay)、cabotegravir(S/GSK-1265744、Phase III試験中)、抗インフルエンザ薬peramivir(BioCrystより導入し、世界に先駆けて開発、製品名Rapiacta)、Baloxavir marboxil(製品名Xofluza)があります。北海道大学とは、抗インフルエンザウイルス薬peramivirの導入時点から現在まで、10年以上もの長い間、抗インフルエンザ薬の共同研究を進めています。

これらの研究で習得した様々な抗ウイルス研究のノウハウ、合成した化合物群を応用し、新興・再興感染症の治療薬の創製を目的として、2013年に新興・再興感染症研究チームを発足させました。研究場所を北海道大学に移し、北海道大学との共同研究で、進めていくことになりました。

研究メンバー

《教員》 

佐藤 彰彦             北海道大学 客員教授 (塩野義製薬 主席研究員)

喜田 宏                北海道大学 ユニバーシティプロフェッサー

澤 洋文                北海道大学 教授

迫田 義博               北海道大学 教授

大場 靖子               北海道大学 講師

《共同研究員》

登 治謙                塩野義製薬 研究員

鳥羽 晋輔               塩野義製薬 研究員

谷口 恵一               塩野義製薬 研究員

佐名木 孝央            塩野義製薬 研究員

上村 健太朗              塩野義製薬 研究員

論文発表

  1. Inhibition of avian-origin influenza A(H7N9) virus by the novel cap-dependent endonuclease inhibitor baloxavir marboxil. Taniguchi K, Ando Y, Nobori H, Toba S, Noshi T, Kobayashi M, Kawai M, Yoshida R, Sato A, Shishido T, Naito A, Matsuno K, Okamatsu M, Sakoda Y, Kida H, Scientific Reports, (2019) 9: 3466

  2.  

    In vitro Characterization of Baloxavir Acid, a First-in-Class Cap-dependent Endonuclease Inhibitor of the Influenza Virus Polymerase PA Subunit. Noshi T, Kitano M, Taniguchi K, Yamamoto A, Omoto S, Baba K, Hashimoto T, Ishida K, Kushima Y, Hattori K, Kawai M, Yoshida R, Kobayashi M, Yoshinaga T, Sato A, Okamatsu M, Sakoda Y, Kida H, Shishido T, Naito A, Antiviral Research, (2018) 160: 109–117

  3.  

    Identification of compound-B, a novel anti-dengue virus agent targeting the non-structural protein 4A. Nobori H, Toba S, Yoshida R, Hall WW, Orba Y, Sawa H, Sato A. Antiviral Research, 2018 155: 60–66.

  4.  

    Discovery of novel cyclic peptide inhibitors of dengue virus NS2B-NS3 protease with antiviral activity. Takagi Y, Matsui K, Nobori H, Maeda H, Sato A, Kurosu T, Orba Y, Sawa H, Hattori K, Higashino K, Numata Y, Yoshida Y, Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2017 27: 3586-3590

  5.  

    Therapeutic efficacy of peramivir against H5N1 highly pathogenic avian influenza viruses harboring the neuraminidase H275Y mutation. Kobayashi M, Kodama M, Noshi T, Yoshida R, Kanazu T, Nomura N, Soda K, Isoda N, Okamatsu M, Sakoda Y, Yamano Y, Sato A, Kida H, Antiviral Research, 2017 139:41-48.